野球用語辞典

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コッキング

こっきんぐ

投球動作において、腕を後方に引いて肩関節が最大限に外旋した状態を指す。投球フォームの中でも最も重要なフェーズの一つであり、この段階で蓄えられたエネルギーがリリースの瞬間に解放されて球速とコントロールを生み出す。コッキングは、ワインドアップからトップポジションに移行する過程で行われ、肩甲骨の後退と肩関節の外旋が同時に起こる。適切なコッキングには、肩周りの筋力と柔軟性、肩甲骨の可動域が必要である。コッキングが深すぎると肩への負担が増大し、肩関節障害や肘の故障リスクが高まる。逆に浅すぎると十分なエネルギーを蓄えられず、球速や変化が不十分になる。現代の投球分析では、モーションキャプチャー技術によりコッキングの角度やタイミングが詳細に計測され、個々の投手に最適な動作が研究されている。また、コッキング時の体幹の安定性も重要であり、下半身からの力を効率的に上半身に伝えるためには、体幹の強化が不可欠である。コッキングの質は投球パフォーマンスと故障予防の両面で決定的な役割を果たす。