WAR
ウォー
WARとは「Wins Above Replacement」の略で、ある選手が代替可能な平均的選手と比較してチームに何勝分の貢献をもたらしたかを示すセイバーメトリクスの総合指標である。打撃、走塁、守備のすべての要素を数値化し、さらにポジションの難易度や試合数なども加味して算出される。投手の場合は投球内容から勝利への貢献度を計算する。WARの計算方法は複数存在し、Baseball ReferenceのbWARとFanGraphsのfWARが代表的で、評価基準や計算式に違いがある。一般的にWARが2.0以上なら標準以上、5.0以上なら優秀、8.0以上ならMVP級の活躍とされる。WARの利点は、異なるポジションの選手や投手と野手を同じ基準で比較できる点にあり、年俸交渉やFA市場での選手評価、MVP投票の参考指標として重要性が増している。ただし、計算が複雑で理解しにくい点、守備評価の精度に議論がある点、短期間では誤差が大きい点などの課題も指摘される。それでも現代野球では、選手の総合的価値を測る最も有力な指標として、球団経営やチーム編成の意思決定に広く活用されている。