球の伸び

たまののび

球の伸びは投手の投じたボールが打者の手元まで勢いを保ち、見た目よりも速く感じられる現象を指す野球用語である。物理的にはボールが減速しにくい状態を意味し、高い回転数とバックスピン効率が重要な要素となる。バックスピンによるマグヌス効果で揚力が生じ、重力に逆らって落下が抑えられることで、打者には「浮き上がるような」軌道に見える。トラックマンなどの計測技術により、球の伸びは回転数(スピン量)と回転効率で数値化できるようになった。一般的に1分間あたり2400回転以上のバックスピンがあると伸びのある球とされる。また球速が高くても回転数が少ないと伸びを感じにくく、逆に球速が平均的でも高回転ならば打者を打ち取れる。投手は腕の振りやリリースポイント、指のかけ方を改善して回転数を増やす努力をする。伸びのある直球は空振りを奪いやすく、打者の打ち損じを誘発する。現代野球では球の伸びが投手評価の重要な指標となっている。