打率
だりつ
打率とは、打者が打席に立った際にヒットを打つ確率を示す指標である。正確には「安打数÷打数」で計算され、小数点以下3桁で表示される。例えば、100打数で30安打なら打率は.300(3割)となる。打率は打者の能力を測る最も基本的かつ伝統的な指標であり、一般的に3割以上が優秀、2割5分が平均的、2割を下回ると低調とされる。プロ野球では、シーズン打率3割を記録することは好打者の証とされ、首位打者のタイトルは最も権威ある個人タイトルの一つである。ただし、打率の計算において「打数」には四球や犠打、犠飛は含まれない。つまり、四球が多い選手は打率だけでは評価しきれない価値を持っている。そのため、近年のセイバーメトリクスでは、出塁率やOPSなど、より総合的な指標も重視されるようになっている。それでも打率は、打者の確実性や技術の高さを示す重要な指標として広く認識されている。シーズンを通じて安定した打率を維持することは非常に難しく、好不調の波を乗り越える精神力も求められる。また、得点圏打率や対左右投手別の打率など、状況別の打率も戦略的な価値を持つ。打率は野球統計の基礎であり、打者評価の出発点となる普遍的な指標である。