フライボール革命
ふらいぼーるかくめい
フライボール革命とは、メジャーリーグで2010年代半ばから広まった、打球の角度を重視する打撃理論と戦略の変化を指します。従来は「ゴロを転がして塁に出る」という考え方が主流でしたが、データ分析の結果、適切な角度のフライボール、特に打球角度25~35度程度のフライが最も長打になりやすく、得点効率が高いことが判明しました。この発見により、打者は意図的に打球角度を上げ、フライを打ち上げる打撃スタイルへと変化していきました。フライボール革命の背景には、トラックマンやスタットキャストといった計測技術の発展があります。これらのシステムにより、打球の初速、角度、回転数などが正確に測定できるようになり、どのような打球が最も効率的かが科学的に解明されました。結果として、メジャーリーグでは本塁打数が急増し、2017年と2019年には年間本塁打記録が更新されました。一方で、フライボール革命には批判もあります。三振数の増加、小技の軽視、画一的な打撃スタイルの蔓延などが指摘されています。また、すべての打者に適した理論ではなく、身体能力や打撃技術によっては従来型の打撃スタイルの方が効果的な場合もあります。日本プロ野球でも徐々に浸透しつつありますが、球場の広さや気候条件の違いから、メジャーリーグほどの劇的な変化は見られていません。