内側側副靭帯
ないそくそくふくじんたい
内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)は、肘の内側にある靭帯で、投球動作において非常に大きな負担がかかる部位である。英語ではUCL(Ulnar Collateral Ligament)と呼ばれる。投手が球を投げる際、肘には強い外反ストレスがかかり、内側側副靭帯がその力を支えている。繰り返しの投球により靭帯が疲労し、部分断裂や完全断裂を起こすことがあり、これが投手にとって最も深刻な故障の一つとされる。内側側副靭帯損傷の治療法として有名なのが「トミー・ジョン手術」で、損傷した靭帯を他の部位から採取した腱で再建する手術である。手術後のリハビリには1年から1年半程度を要し、復帰後も以前と同じパフォーマンスを発揮できるかは不確実である。予防策としては、適切な投球フォーム、投球数制限、十分な休養、肩や肘周りの筋力強化などが挙げられる。近年は若年層の投手にも内側側副靭帯損傷が増えており、過度な投球や無理な球種の使用が問題視されている。