野球用語辞典

← 用語一覧に戻る

投打分離

とうだぶんり

投打分離とは、投手としての役割と打者としての役割を分ける考え方や制度のことである。最も代表的な例は、アメリカンリーグで採用されている指名打者(DH)制度であり、投手の代わりに専門の打者が打席に立つことで、投手は投球に専念できる。この制度により、投手の負担が軽減され、より質の高い投球が長いイニングにわたって期待できる。一方、ナショナルリーグでは伝統的に投手も打席に立つルールが採用されてきたが、2020年シーズンからはユニバーサルDH制が導入され、両リーグでDH制が採用されている。日本プロ野球では、パシフィック・リーグが1975年からDH制を導入し、セントラル・リーグは投手が打席に立つ形式を維持してきたが、交流戦ではパ・リーグのルールが適用される。投打分離の議論では、野球の戦略性や投手交代のタイミング、代打の起用など、試合展開に与える影響が常に話題となる。また、大谷翔平選手のような投打二刀流の選手が注目を集める中、投打分離の意義が改めて問われている。投打分離は、選手の専門性を高める一方で、野球の総合性を損なうという両面性を持つテーマである。