縦カーブ
たてかーぶ
縦カーブとは、投手が投げる変化球の一種で、主に縦方向に大きく落ちる軌道を描くカーブを指す。通常のカーブが斜め方向(右投手なら左斜め下、左投手なら右斜め下)に曲がるのに対し、縦カーブはより垂直に近い軌道で落ちる。この変化は、ボールに強い前方回転(トップスピン)を与えることで生まれる。縦カーブは、打者の目線を上下に動かす効果があり、特に高めのファストボールとの組み合わせで威力を発揮する。打者はファストボールと同じ軌道で来たボールが突然ストンと落ちるため、空振りを誘いやすい。日本のプロ野球では、カーブを得意とする投手が多く、縦に大きく割れるカーブは「縦スラ」「ドロップカーブ」などとも呼ばれる。投げ方としては、手首を内側に捻り、人差し指と中指でボールの側面を擦り上げるようにリリースする。回転軸をより縦に近づけることで、横方向の変化を抑え、縦の変化を強調する。縦カーブの特徴は、球速が遅いためタイミングを外しやすいこと、そして大きな変化量で空振りを奪えることである。一方で、変化が大きい分コントロールが難しく、高めに浮いたりワンバウンドしたりするリスクもある。プロ野球では、杉内俊哉、金子千尋などが縦カーブを武器に活躍した。メジャーリーグでは、クレイトン・カーショーのカーブが縦カーブの代表例として知られる。