遠投
えんとう
投手や野手が遠距離への送球を行う練習。肩の強化、球速の向上、送球の飛距離を伸ばすことを主な目的として実施される。通常のキャッチボールよりも長い距離で行い、段階的に距離を伸ばしていく。投手にとっては、腕の振りを大きくして力強く投げることで、肩周りの筋力強化とスピードアップにつながる重要なトレーニングである。全身を使った投球動作を身につけ、下半身の力を腕に伝える感覚を養う。野手にとっても、外野からのバックホームや長距離送球の能力向上に直結し、実戦で必要な送球力を鍛えることができる。遠投の距離は選手のレベルや目的により異なるが、投手では60メートルから120メートル程度まで、外野手では80メートルから150メートル程度まで行うこともある。プロ野球選手の中には、100メートルを超える遠投を日常的に行う選手も多い。遠投時は、ボールが低い弾道で相手の胸元に届くように、ワンバウンドでもしっかりと勢いのある送球を心がける。山なりの放物線ではなく、できるだけ低い軌道で投げることが重要である。ただし、肩や肘への負担が大きいため、適切なウォーミングアップと投球数の管理が必要である。急激な距離の延長や過度な遠投は故障のリスクを高めるため、段階的に距離を伸ばすことが推奨される。オフシーズンやキャンプでの基礎体力づくりにも活用され、シーズン開始前の肩づくりの重要な要素となっている。