ナックルボール
なっくるぼーる
ボールにほとんど回転を与えずに投げる特殊な変化球。指の爪や指先でボールを押し出すように投げることから、この名称がついた。ナックルボールは空気抵抗の影響を強く受け、不規則に揺れながら落ちたり曲がったりする予測不可能な軌道を描く。投手自身も投球後の軌道を完全には予測できないため、打者にとって非常に打ちにくい球種である。一方で、捕手にとっても捕球が困難であり、ナックルボール専門の投手には専属の捕手がつくこともある。MLB史上では、ホイト・ウィルヘルム、フィル・ニークロ、ティム・ウェイクフィールドなどがナックルボール投手として著名である。この球種は腕への負担が少ないため、高齢になっても投げ続けられる利点がある一方、習得が非常に難しく、制球も不安定になりやすい。風の影響を受けやすく、ドーム球場よりも屋外球場で効果を発揮する。現代野球では使い手が激減しているが、その独特な特性から一部の投手が挑戦を続けている希少な球種である。