無回転
むかいてん
無回転とは、投球時にボールがほとんど回転せずに投手から打者に向かって飛んでいく球種を指す。正確には完全な無回転ではなく極端に回転数が少ない状態であり、英語ではナックルボール(Knuckleball)と呼ばれる。通常の投球では1回転あたり20〜40回転するのに対し、無回転の投球は数回転程度に抑えられる。無回転のボールは空気抵抗の影響を不規則に受けるため、予測不可能な変化をしながら打者に向かい、打者にとって非常に打ちにくい球となる。投げる投手自身もコントロールが難しく、捕手も捕球に苦労することが多い。投げ方としては、指先でボールを押し出すようにして回転を極力与えないようにする特殊な技術が必要である。メジャーリーグではティム・ウェイクフィールドやR.A.ディッキーなどがナックルボーラーとして知られ、長いキャリアを築いた。日本のプロ野球では呉昇桓や牧田和久が無回転に近いボールを投げることで知られる。無回転ボールは習得が難しく、投手の肩への負担が少ないため高齢になっても投げ続けられる利点があるが、安定性に欠けるため現代では珍しい球種となっている。