野球用語辞典

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ナックル

なっくる

ナックルとは、正式には「ナックルボール」と呼ばれる変化球で、ほぼ無回転の状態でボールを投げることで、空気抵抗による不規則な変化を生み出す特殊な球種である。握り方は指の関節(knuckle)を使ってボールを押さえるようにし、リリース時に指先でボールを押し出すように投げる。理想的なナックルは毎分100回転以下という極めて少ない回転数で飛んでいき、空気の流れや気圧の変化によって予測不可能な軌道を描く。この不規則な変化により、打者だけでなく捕手も捕球が困難になることが多い。ナックルの球速は非常に遅く、平均して100~110キロ前後である。ナックルの最大の特徴は、腕への負担がほとんどないため、高齢になっても投げ続けられることと、一試合で大量に投球しても疲労しにくいことである。そのため、ナックル専門の投手は40代後半まで現役を続けることも珍しくない。しかし、習得が極めて難しく、制球も安定しないため、ナックルを武器とする投手は非常に少ない。MLBではR.A.ディッキーやティム・ウェイクフィールドが有名で、日本のプロ野球でも吉田えりなど一部の投手が使用している。独特の軌道で打者を翻弄する浪漫溢れる球種である。