一塁牽制
いちるいけんせい
一塁牽制とは、投手が一塁に走者がいる状況で、その走者の盗塁やリードを防ぐために一塁へボールを送球する守備動作である。牽制球の主な目的は、走者をアウトにすることよりも、走者の大きなリードを抑制し、盗塁を断念させることにある。特に足の速い走者や盗塁成功率の高い走者に対しては、頻繁に牽制を入れることで走者にプレッシャーをかけ、投手の投球に集中できる環境を作る。一塁牽制のタイミングや精度は投手の重要なスキルの一つで、クイックモーションや見せ球としての牽制など、様々な技術がある。左投手は一塁を向いた状態から投球動作に入れるため、右投手よりも牽制が得意とされ、これは左投手の大きな武器となっている。一方で、牽制球の送球が悪送球(ボーク)と判定されれば走者に進塁を許すリスクもあるため、正確性が求められる。2023年のメジャーリーグでは、投球リズムの改善と盗塁の活性化を目的として、投手の牽制球回数に制限(同じ打者の打席中に2回まで、3回目は必ずアウトにしなければボーク)が導入された。守備側にとって牽制は走者を釘付けにする重要な戦術であり、攻撃側にとっては牽制をかいくぐって進塁するチャンスを狙う駆け引きの場となる。