野球用語辞典

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極端なシフト

きょくたんなしふと

極端なシフトとは、特定の打者の打球傾向に基づいて、守備位置を通常とは大きく異なる配置にする守備戦術である。最も一般的なのは、引っ張り傾向の強い左打者に対して、二塁手を一・二塁間の深い位置に配置し、遊撃手を二塁ベース右側に移動させる三遊間シフトである。これにより、右方向への打球に対する守備範囲が大幅に拡大する。データ分析の進化により、各打者の打球方向の統計が詳細に記録され、それに基づいて最適な守備位置が計算される。MLB(メジャーリーグ)では2010年代から極端なシフトが急増し、特定の強打者に対しては4人の内野手全員が一塁側に配置されることもあった。極端なシフトは、打者の長打を単打に抑えたり、ヒットになるはずの打球をアウトにする効果がある。一方で、打者側も極端なシフトに対応する戦術を取り、逆方向へのバッティングや小技を使うことで対抗する。MLBでは2023年シーズンから極端なシフトに制限が設けられ、内野手は各サイドに最低2人ずつ配置することが義務付けられた。これは打率の低下と三振増加に対する対策の一環である。日本プロ野球でも徐々に極端なシフトが採用されているが、MLBほど頻繁ではない。極端なシフトは現代野球における戦術革新の象徴的な例である。