球質
きゅうしつ
球質とは、投球の物理的特性や打者に与える印象を表す概念で、球速だけでは測れない投球の質の高さを示す用語である。具体的には、ボールの回転数(スピンレート)、回転軸、球の伸び、ムービング(変化)の度合い、打者の手元での球の見え方などが含まれる。同じ150km/hの速球でも、球質によって打者の体感速度は大きく異なり、「重い球」「軽い球」「伸びのある球」といった表現で区別される。重い球質のボールは、打者が芯で捉えても飛距離が出にくく、ゴロを打たせやすい。逆に、軽い球は打者のバットが振り抜きやすいが、空振りを奪いやすい特性がある。近年、TrackManやRapsodoなどのテクノロジーにより、スピンレートやスピン効率といった球質を数値化できるようになり、投手の育成やリクルーティングにおいて重要な指標となっている。球質の良さは、投手の才能を見極める上で球速以上に重視されることもあり、メジャーリーグでは球質改善のための専門的なコーチングが行われている。