スピン効率
すぴんこうりつ
スピン効率とは、ボールの回転が実際の軌道変化にどれだけ効果的に寄与しているかを示す指標である。英語ではSpin Efficiencyと呼ばれ、パーセンテージで表される。回転数が多くても、回転軸が理想的でなければ、その回転は十分に変化や揚力に変換されない。スピン効率は、この変換効率を数値化したものである。ストレートの場合、理想的なバックスピン(完全な逆回転)のスピン効率は100%となる。しかし、実際には完全なバックスピンを投げられる投手は稀で、多くの場合80〜95%程度である。スピン効率が高いストレートは、ノビがあり、打者の予想を上回る軌道となる。逆にスピン効率が低いと、回転数が多くても変化が少なく、平凡な軌道となってしまう。変化球の場合、球種によって理想的なスピン効率は異なる。スライダーやカーブは横回転の効率が重要で、フォークボールは意図的にスピン効率を下げることで不規則な変化を生む。スピン効率を改善するには、リリース時の指の位置や角度を調整すること、握り方を変えること、腕の振り方を修正することなどが有効である。近年のメジャーリーグでは、スピン効率を分析することで、投手の球質改善や新しい球種の開発が行われている。回転数だけでなく、スピン効率を高めることが、現代の投手に求められる技術となっている。