ジャイロボール
じゃいろぼーる
ジャイロボールとは、ボールの進行方向に対して回転軸が平行になるように投げられる球種を指す。ライフル銃の弾丸が螺旋回転しながら飛ぶのと同様の回転をすることから、「ジャイロ」という名称がついた。理論上は、この回転により空気抵抗が少なくなり、通常のストレートよりも減速しにくく、打者の手元まで伸びるような軌道を描くとされる。握り方や投げ方には様々な理論があるが、基本的には手首を捻らずにボールをリリースし、進行方向への回転を生み出すとされる。ジャイロボールは1990年代後半から2000年代初頭にかけて日本で注目を集め、「魔球」として話題になった。しかし、その実在性や効果については科学的に疑問視されることも多く、賛否両論がある。実際に完全なジャイロ回転を意図的に投げることは技術的に極めて難しく、プロの投手でも安定して投げられる者はほとんどいないとされる。計測技術の発達により、多くの球が完全なジャイロ回転ではなく、ジャイロ成分を含んだ複合的な回転をしていることが明らかになっている。現代野球では、ジャイロボールという用語自体が使われることは減少しており、回転軸や回転効率といったより科学的な指標で投球が分析されるようになっている。野球界における一種のロマンとして記憶される球種である。