野球用語辞典

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パーム

ぱーむ

パームとは、正式には「パームボール」と呼ばれる変化球で、手のひら(palm)全体でボールを包み込むように深く握って投げることからこの名称がついた。チェンジアップの一種として分類されることが多い。握り方は、ボールを手のひらの奥深くまで押し込み、指先だけでなく掌全体でボールを支えるようにする。この握りにより、リリース時に指がボールにかかりにくくなり、回転数が少ない状態でボールが投げられる。その結果、ストレートと同じ腕の振りから投げても球速が大きく落ち(ストレートより20~30キロ程度遅い)、さらに打者の手元で沈むような変化を見せる。パームの最大の特徴は、投げる際の腕や肘への負担が少ないことである。回転をかけずに投げるため、故障のリスクが低く、長いイニングを投げる先発投手にとって有用な球種とされる。ただし、制球が難しく、ボール球になりやすいという欠点もある。日本のプロ野球では、桑田真澄や杉内俊哉などがパームを武器として活躍した。球速は平均して110~120キロ前後で、ストレートとの速度差により打者のタイミングを外し、凡打や空振りを誘う効果がある。現代野球でも有効な変化球の一つである。