QS
きゅーえす
QSとは「クオリティ・スタート」の略称で、先発投手が6イニング以上を投げて自責点を3点以内に抑えた登板を指す。英語では「Quality Start」と表記される。この指標は1985年にアメリカの野球記者ジョン・ローランが考案したもので、先発投手の最低限の役割を数値化したものである。QSを達成した場合、先発投手は試合の3分の2を投げ、防御率4.50に相当する内容で抑えたことになり、チームに勝利の可能性を残したと評価される。QSは勝利投手の記録とは異なり、味方打線の援護に左右されないため、投手自身の投球内容を純粋に評価できる利点がある。例えば、好投しても味方の援護がなく敗戦投手になった場合でも、QSを達成していれば投手の貢献は認められる。プロ野球では、先発投手がシーズンで20回前後のQSを達成することが一般的であり、25回以上はエース級の活躍とされる。QS率60パーセント以上は優秀な成績とされ、安定した先発ローテーションの一員として評価される。さらに厳しい基準として、7イニング以上を自責点2以内に抑える「HQS」という指標も存在する。QSは投手の安定性と信頼性を測る重要な指標であり、勝利数や防御率と合わせて総合的に評価される。近年では、先発投手の起用法が多様化し、必ずしも6イニング投げることが求められない場合もあるが、QSは依然として先発投手の質を測る有効な指標として広く用いられている。